電気回路には、過電流や漏電などによる機器の故障や、人への感電、火災などの事故を防ぐための機器があります。
主に使われるのは、「漏電遮断器」「配線遮断器」「サーキットプロテクタ」があります。
どれも、“正常時は回路を導通し、異常時は回路を遮断する”という機能が備わっています。
また、遮断された回路は人がレバーやスイッチをONすることで、回路を導通させることができます。
似たような機能を持つ3種類の機器ですが、使用用途によって使われる場面が少しずつ異なってきます。
どんな違いがあるかを紹介します。
配線用遮断器とは
まずはわかりやすい、配線用遮断器について紹介します。
配線用遮断器は、MCCB(Molded Case Circuit Breaker)、ノーヒューズブレーカー(NFB)とも呼ばれ、過負荷や短絡などによって異常な過電流が流れた際に一次側の回路を遮断し、接続されている機器や電線の損傷、火災などの事故を防ぐために使用されます。
自宅でたくさんの電化製品を同時に使いすぎたときに、「ブレーカーが落ちた!」と言われるのはこの、配線用遮断器になります。
三菱電機のWS-Vシリーズでは、定格電流が3A~250Aのものがあり、サイズもさまざまです。
接点は2極または3極で、主にAC(交流回路)で使用します。
DC(直流回路)で使えるものもあるようですが、サイズが大きく、特殊な用途になるものと思います。
漏電用遮断器とは
漏電用遮断器とは、ELCB(Earth Leakage Circuit Breaker)、ELBとも呼ばれ、漏電による漏れ電流を検知して、一次側の回路を遮断し、漏電による火災や感電事故を防ぐために使用されます。
自宅で、洗濯機や電子レンジ、冷蔵庫を購入、設置すると必ず、アース線(緑色の線)の接続を求められます。
これは、万が一水漏れなどによって漏電が発生した際に、電気を大地に逃がして人間への感電を防ぐためと、漏電用遮断器が漏電を検出するために必要なことなのです。
機能だけを見ると、過電流の保護はありませんが、一般的には漏電用遮断器には配線用遮断器の過電流保護の機能がついているものがほとんどで、漏電用遮断器は配線用遮断器に漏電検出の機能がついたものと考えて問題ありません。
三菱電機のWS-Vシリーズでは、接点は2極または3極、定格電流が5A~250Aのものがあり、サイズもさまざまですが、AC(交流回路)限定で、配線用遮断器のようにDC(直流回路)で使用できるものはありません。
サーキットプロテクタとは
サーキットプロテクタ(CP、Circuit Protector)とは、過電流から機器や電線を保護するために使用するものであり、機能上は配線用遮断器と変わりはありませんが、使用用途が異なります。
三菱電機のCPシリーズでは、定格電流は0.1A~30Aで、AC(交流回路)、DC(直流回路)どちらでも使用できます。
接点は1極~3極と、1極のみでも使えます。
また、配線用遮断器よりも過電流に敏感に反応します。
配線用遮断器では、通常はモータやトランスなどの突入電流には反応しませんが、サーキットプロテクタでは種類により、突入電流を遮断することができます。
瞬時形、高速形、中速形、低速形が用意されており、過電流に対してどの程度許容するかを選択することができます。
また、制御盤内で使用されることが多く、トリップのレバーは操作しにくい場合が多いです。
まとめ
漏電の危険性がある場合・・・漏電用遮断器
漏電の危険が無く、コストを抑えたい場合
または、手動で開閉したい場合(主電源として使用等)・・・配線用遮断器
直流回路の保護をしたい場合、低容量でも過電流による保護をしたい場合、
1極で使いたい場合、突入電流などの高速でも遮断したい場合・・・サーキットプロテクタ
設備の大きさにもよりますが、漏電用遮断器や配線用遮断器は1設備につき1台設置し、サーキットプロテクタは設備で使用するパワーサプライやモータ、トランスなど、それぞれの機器の消費電力に合わせて“これ以上の電流が流れたら困る”というところで選定することが多いかと思います。